二子玉川心理ケースワークオフィス

共感は人に安心感を与え、力を引き出す

音叉

カウンセリングを効果的にするものは何か?と問われましたら、
一番に共感の持つパワーをあげます。

「しんさいニート」カトーコーキ著(イーストプレス社)に当オフィスでのカウンセリング体験が描かれています。
P248よりカトーコーキ氏の初回インテーク面接の中で、カトーコーキ氏は今までの経験した出来事と父親との関係について語られます。
その後に私が「これだけのことがあればうつになってしまうのは全然不思議なことではないですよ」
「それにしても、よくご自分を分析されてますね。素晴らしいですよ。」
と語ります。 そしてカトーコーキ氏の内言として「褒められたことが嬉しかった」とあります。
これが共感です。

精神分析家のコフートは共感の定義のひとつに「代理の内省」と述べています。
芥川がカトーコーキ氏に代わって彼の内面に起こっていることを想像し、内省したことを伝えています。
カトーコーキ氏はこの時に共感されたと感じ、安心感を得られたようです。
「胡散臭いカウンセリング」と「どうせ偽名だろう」の懐疑心が安心に変わった瞬間ではないでしょうか。

そしてp251カトーコーキ氏が「2回目からのカウンセリングは実に面白かった」と、
さて何が起きたのでしょう。これも共感なのです。
今度は現代自己心理学派のスカロフの言葉を引用すると
共感的理解とは(カウンセラーとクライエントの)双方向的なものである。相手を理解することと相手に理解されることは、 瞬間、瞬間に相互に規定し合う、分かつことのできない一つのプロセスなのである。 さらに クライエントの話に耳を傾けていくうちに、カウンセラーは共感的没頭を超えて、 さらにカウンセラーとクライエントが振り付け合う共感的ダンスに入っていくのである。

簡単に言うと、話が盛り上がり「そうそう」「そうなんです」「わかります」「それはすごい」「まさにその通り」の応酬。 チクセント・ミハイの言う「フロー」にも似ているカウンセリング中に時折起きる至高の瞬間です。

最後に、臨床心理学者のロジャースは共感について以下のように語っています。
共感を経験することで人は解放され、強くなり、また、たとえどんなにおびえたクライエントでも、自分が人類の一員であるという安心感へ導かれていく また波長が合うこと自体が、治療し、強化し、成長を促進する

共感の持つ絶大なるパワーを感じていただけましたでしょうか。

私にできるかしら?と感じられた、お父様お母様に、先生方に朗報があります。
コフートは、共感を相手の心の「データ」を「収集」する方法とも定義しました。
これは、特殊技術を用いなくても、「肯定的に相手の気持ちを知ろうとすること」が共感になるということです。

親は子供に、先生は生徒に、上司は部下に、親方は力士に、監督・コーチは選手に
共感の持つパワーを試してみませんか。

「共感的ダンス」に興味のある方はぜひ一度カウンセリングのドアを開けてみてはいかがでしょうか。