二子玉川心理ケースワークオフィス

セルフ・リラクゼーション 実践編

テーマは「リラクゼーション(実践編)」です。 リラクゼーションとは副交感神経を優位にする事です。副交感神経を優位にする実践として、呼吸、ストレッチ、自律訓練法をお伝えします。

実践1 呼吸法 (腹式呼吸)

人は1日に平均2万回以上の呼吸を行っています。 呼吸はリラックス時と緊張興奮時では違いがあります。 また、人によって呼吸には癖があります。 臨床経験上、ストレスのある方は呼吸が浅く、肩が動きやすく、逆に優秀なアスリートや所謂、肝っ玉の据わった人は、呼吸がゆったりと深く、お腹でおこないます。
とても重要な事は、呼吸は無意識にコントロールされているものですが、意識的にコントロールすることも出来るということです。 この事は、呼吸は自律神経と体性神経の両方が関与しているからです。 そのために呼吸をコントロールすることで自律神経をコントロールすることが可能になるのです。

リラクゼーションの鍵は横隔膜にあり 呼吸活動は横隔膜7割、肋骨金筋3割よって行われています。横隔膜は肺の下方にあるドーム型の膜状筋肉です。(左図の赤い部分) この横隔膜が下方に下がり腹圧が生じるのが腹式呼吸です。 腹式呼吸は息を吸ったときにお腹が膨らみ腹圧が増し、吐くときにお腹が凹みます。 横隔膜の働きが制約されて肋骨筋の収縮で行われる呼吸が胸式呼吸です。 胸式高級は息を吸ったときにお腹が凹み、吐くときにお腹が戻ります。

お腹に手を置いてお腹の動きを感じながら、吸うときは鼻から短めに、吐くときは口から細く長く吐きだしていきましょう。 最初の内は、1週間ほどは意識的に時間を取って3分×3回くらい練習して下さい。 その後は、意識するだけで腹式呼吸が出来るようになっていきます。
ストレスなどで緊張すると胸式呼吸になります。 呼吸は自分の意志でコントロール出来ます。 生活の中、仕事中にもできるだけ腹式呼吸を意識してみて下さい。 一度マスターすると一生ものです。
最近では、息を吐く時にも腹圧を維持する腹圧呼吸も効果的な呼吸であるという推奨されています。

実践2 ストレッチ (筋弛緩法)

一番簡単に副交感神経を働かせる方法は、力を入れる、緩めるを繰り返す方法です。
最も有名なのはジェイコブソン(生理学者)の考案した方法です。 この方法は、皆さんがほぼストレッチとして理解している方法です。 肩をあげたり下げたり、手を曲げたり、伸ばしたりなどの方法です。 コツは力を8割程度に入れて、10秒ほど保ち、息を吐きながらゆっくり抜いていくことが重要です。
最近では、テレビでおなじみの菊池和子先生のきくち体操、青山学院陸上部のトレーナーであった中野ジェームス秀一さんのストレッチがとても効果的です。 ぜひ、お試しあれ。
多少のストレスは、早め早めのストレッチで充分に解消できます。
仕事中には、時折姿勢を変えてみたり、できる限りのストレッチを心がけて下さい。 身体をゆっくりと左右に揺らすだけでも効果的です。
姿勢を整えることは疲労の最大の防止です。 肩と耳のラインをまっすぐにする。 肩甲骨を動かすなどは座っていてもできます。 疲労は同じ姿勢からも生じやすいです。 休み時間には積極的に身体を動かして下さい。
また、日常生活に運動を取り入れましょう。 歩く、走る、自転車に乗る。またはスポーツジムに通う、ヨガを習う、山に登るなど、余暇活動に運動が取り入れることが出来ると最高です。
疲労が貯まると、ついつい「今度の休日は家でゆっくりくつろごう」と考えます。 が、実はこれが却って休み明けの出社に疲れを増す傾向があります。 疲れとは、身体を動かさなかった時間が多かった場合に起きやすいのです。 身体は動かすことで副交感神経が働くのです。 これを最近では「動的コンディショニング」、「動的リカバリー」と呼ばれています。 身体を動かした方が、血液の流れが促進されて脳と筋肉にたくさんの酸素を送ることが出来て、疲労物質の滞留を防ぐことができます。

実践3 自律訓練法(自己暗示)

自律訓練法は自分自身で行える、種々の効果が実証されている心理生理的訓練法です。
自律訓練法は自己暗示を用います。自己暗示の例として以下の実験があります。

実験①
小学生の指先に温度センサーをつけます。 そして、「手が温かい」と心の中でつぶやいてもらいます。 そうしますと、8割近い小学生が3~5分ほどで2度から3度指先の温度が上昇します。 大人な場合は、6割の方が5分から10分ほどで2~3度上昇します。
実験②
5円玉に糸を通して振り子状にします。 目の前に振り子を持ってきて、心の中で「振り子が左右に動く」とつぶやきます。 そうしますと、7割の方の振り子が左右に揺れていきます。
以上の様に心の中で思ったことが身体を通して現れる運動を自己暗示による観念運動と言います。
このメカニズムを使って1932年にドイツのシェルツ博士が考案したものが自律訓練法です。 シェルツは東西のリラクゼーションの達人(禅、ヨガ業者等)と呼ばれる方を中心にアンケート調査を行い、リラックス出来ている状態に起こる感覚の多い順に以下の公式をあげました。

これらの公式の順に心の中で繰り返し唱えることで観念運動の働きでリラクゼーションへと導くのです。
これは「私は落ち着いている」または「私はリラックスしている」と言う言葉を心の中でつぶやくだけでも観念運動の働きでリラクゼーションへと導かれることを示しています。
自律訓練法をマスターすることは少し大変に感じますが、まずはこの全公式を頭に入れるだけでも効果的です。 特に、「手が温かい」、「お腹が温かい」は極めて有効なものです。 日常生活の中で、時折、この二つだけでも思いだし意識するだけでも良いのです。 特に今回の3つの実践法の中でもこの方法はマスターすると絶大な効果を得ることが出来ます。 詳しくはこちら自律訓練学会のホームページをご覧ください。

私たちの身体は、凄い力を持っています。正しく使うか、使わないかは私たちの知識と行動にかかっています。豊かな生活を得るために早速、実践して下さい。 本格的にマスターしたいとお考えの方は是非ご来所ください。