二子玉川心理ケースワークオフィス

カウンセリング効果を高める話し方

カウンセリングするカンガルー

今回はカウンセリングの効果的な受け方についてお話しします。
「カウンセリングを受けたけどあまり意味があったとは思えない。」
または、「長年、カウンセリングを受けているけど進歩がない。」
「もっと話したいことがあるのに、カウンセリングの時うまく話せない。」
「いつも、日常の報告だけで終わってしまうわ。」
基本的にカウンセリングの場は自由な場です。どの様に話すのも自由ですし、こうのように話さなければいけないというのはありません。

カウンセリングの一時間、ずーと、好きなプロレスの話、F1の話を1時間延々と話し続ける。 そして、日常は不定愁訴いっぱいの不登校状態から確実に脱出していかれた方もいらっしゃいます。

たくさん話すこと、日常では話せないことを吐露することは浄化カタルシス効果があります。
自分の気持ちをアウトプットする。 そこに気づきが生まれます。 そして自分を客観視できるようになります。 客観視出来ると自己中心から脱却した主体性が生まれます。

さて、今回お伝えしたいことは
カウンセリングをお受けになるときに以下の事を頭に入れて受けるとカウンセリングがより効果的になるという話です。
成功するカウンセリングの受け方です。

7段階のEXPスケールの概要(久保田ら, 1991)
段階評定基準
1話し手と関連のない外的な出来事について語る。
2話の内容は話し手と関連があるが,話し手の気持ちは表明されない。知的あるいは行動的な自己描写。
3外的な出来事に対して話し手の気持ちが語られるが, そこからさらに自分自身について述べることはしない。
4出来事に対する体験や気持ちが話の中心で,自分の体験に注意を向け,ふくらませたり,深めていったりする。
5自分の体験について,問題や仮説提起をする。探索的,思考的,ためらいがちな話し方。
6自分自身の新しい気持ちや体験に気づく。話し相手は新しい自己の体験や気持ちの変化について話す。
7話し手の気持ちや体験についての気づきが人生の様々な場面に広がっていく。

この表は体験過程尺度(EXPスケール)と言います。 この研究はロジャース、ジェンドリンが取り組み、日本では池見陽先生らが日本語版EXPスケールを開発なさいました。
1,2,3段階は出来事中心の段階。
4段階は気持ち中心の段階。
5,6,7段階は創造過程中心の段階。

カウンセリングを受けて功を奏するクライエントは4段階より上の内容を話しているときです。
1,2,3段階の発話ではなかなかカウンセリングが進みにくいとこの研究は現しています。

カウンセリングを受ける際には、この事を頭の片隅におきながらお受けになられることを勧めます。

また、日常から意識的に出来事に対し自分の気持ちに焦点をあててみて下さい。
このことは聞き手側も意識してみてください。 保護者の方、先生という立場の方、上司の方は相手が4段階以上の話ができるように焦点を向けてお話を聞いてみて下さい。 1,2,3段階はあまり反応せず4段階以上の話し方に多くのレスポンスをしてみてください。
大きな変化が生じていくと思います。

当オフィスでは、カウンセリングの中でご本人のご希望に合わせ心理学・精神保健の知識もレクチャーしております。
カウンセリングしながら学ぶ、学んでカウンセリングを受けることでよりよい効果をあげます。
お待ちしています。

傾聴・心理臨床学アップデートとフォーカシング 池見 陽 編著